煙突男のはなし
灰泥軽茶

コートの下からにょきっと生えた

細長い煉瓦の色をした

煙突を背負った男は

大きな麦藁帽子を被っているので影のようだ

軍手にした鉤状の蔓で

雑木林をほじくりながら何かを探している

煙突からは光りの加減で透明色の葉脈のような

糸がたくさん空に流れている

男は何かくるくるまわる飴色硝子色した

甲羅を纏った生き物を

ひょいとつりあげ飲みこむと

糸からたくさんの芽が噴き弾け

新緑の雨をすーすーと降らす



自由詩 煙突男のはなし Copyright 灰泥軽茶 2014-03-19 23:08:31
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