掛け布団
ichirou

突然
中1の長女が私の単身赴任先のアパートに転がり込んできた
つまり家出だ
終業式まで後2日

どうしたんだ?

  洗濯 掃除 ご飯の支度 
  全部やるから ここにいさせて
  静岡の中学に転校したい

娘は何から逃げてきたのか
私は何も知らない駄目な父親だ

お腹すいただろ
なんか食べるか?

うなづく娘は安堵した顔つきでテレビを見だし
私が作った豚キムチ炒めとレトルトご飯を平らげると
小さなソファーで眠りはじめた

妻のケータイはずっと話し中
家電にかけると次女が出た

  大変 大変 おねーちゃんが家出した

知ってる 知ってる パパのアパートにいるよ

慌てふためく妻
私が冷静なのは娘が私の側にいるからだろう
と思いながら妻の話を聞いている

  クシュン

ソファーで寝ている娘に掛け布団をかける

そうだったな
今まで掛け布団すらもかけてやれなかったんだ

ごめんな

いつでも私のところに帰っておいで
また学校で嫌なことがあったなら
結婚して夫婦喧嘩したときでも

掛け布団かけてあげるから
悩みに向き合うための温もりをあげるから

もう
私にできることは
それぐらいだ







自由詩 掛け布団 Copyright ichirou 2014-03-19 05:41:00
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