ひとあし おさきに 三部作
るるりら

【五色の指】

靴下を履かせた
五本の指に それぞれに 五色の靴下

おやゆび        りっぱ
ひとささんゆび     させないよお
なかゆび        めだたないよ
くすりぬれないゆび   塗れぬもんか
こゆび          赤ちゃんみたい

一本一本動かしてみる
指たちが
名前をもらって 笑ってた



   
『親指』

親指は ほかの四本と 離れた場所で
ずんぐりむっくりと いつも四本の指を見ている
ほかの四本と なにかが違う 節がちがう
節は てのひらの中に 隠しているのか
だから おふくろさんなのか

ひとさしゆびは ときより こゆびのことをわすれる
なかゆびは ゆくてを いちばんに感じる
くすりゆびは 楽と薬を いったりきたり
こゆぴは きょうもちいさな約束を してきたばかり

おやゆびは 
ずんぐり むっくり
みんなが よりそう
みんなを ささえて

みんなとの間に スペースをつくり
おやおやどうしたのと 笑ってる



『白亜の校舎』

階段をかけ上る
校舎につづく階段を
ふくらはぎと うでで
うでと 重たいカバン

朝の挨拶も連動させて
身体を燃やす 
鼻や耳だけが妙に赤い 
友達の顔

紺色のスカートのプリーツが
ふくらんで とじて
翼のよう

ばすばすばす
足跡は残らない
わたしたちは鳥だから




自由詩 ひとあし おさきに 三部作 Copyright るるりら 2014-03-19 03:01:44
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