お母さんの声
葉月桜子

産まれた時は みんな真っ白い心で
余計なものを何も持たず
求めることはただひとつ お母さんのこと

子供の時って 目がとてもきれい
真っ直ぐな気持ちで 自分に正直に 手に入れようとする
手に入らなければ 泣いてわめいて
心を表に正直に表すの

大人になりかける時
欲には理性が働き 自分をコントロールしようとする
思いも口には出さず
伝えたい事も 伝えられず
自分や周りにとってプラスかマイナスかで
物事を判断する
泣きたくても我慢する


今はどうなんだろう
たくさんのもの 抱えて
その目で何を見てきた?
手に入らなければあきらめるの?
伝えたい事も 我慢するの?
損とか得とかで 判断するの?
本当に必要なものってなんだろ


期待しなければ 気持ちは穏やかでいられる
望むことをやめたら 自然に生きていける

でも自分に正直に生きていれば 期待もするし
願いが叶えば 笑顔になるし
心配な時は 不安になるし
悲しい時は 涙も出るし

大人になると 皆 あれこれ複雑に見せかけて
自分をごまかすけれど

昔と変わらないことは
お母さんの存在

大丈夫よって
遠くからふと あたたかい声が 聞こえた気がした

私は一瞬であの頃に戻った




自由詩 お母さんの声 Copyright 葉月桜子 2014-03-18 22:55:29
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