はちきれんばかりの おもいのままに 三部作
るるりら

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真珠秘話
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海に照り返された日射しだけが 剥離し球体になって昇っている
あれは、太陽なのか。
美しい白銀の オパールに私を変える
変色しつづける魂の空白に、潮騒が打ち寄せては返す
ハローハロー 人々はお互いをよびよせ、口々にささやく

「いつから 扉がここにあるのだろう?」
「この扉は、はたして、押すのだろうか?」
「それとも、引くのだろうか?」
人間たちの狂気が手に ハンマーを持つ

わたしに 振り落とされ
わたしは こなごなにぴきぴきと亀裂を生じ、クダケチッたよ
パールな日におきた不思議な現象。

この曇った空が 透ける。
空白は、見つめすぎてはいけない。目がくらむような
お パール おおパール

貝殻だった私に
私の汚れに
恥辱の鉄槌が振り落とされて
女神は 本日今日ここに、生まれた



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螺鈿の墓場
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からの からだは いりますか
そらの かなたは どうですか
うみが ほしがる  わたしの からだを
満潮に ささげて  わたしは、からっぽ

からの からだは 潮まかせ
いのち なくして ただよえば 
死ぬことなんて 無くしています

波は皺のように寄せては返す
生きることも 無くしています
眉間に波をたてることも 無くしてます
こわいことも 無い
うたうことも 無い
なくすものをなくした そのままの姿で


浜に うちあげられ 
あなたは拾った。ずぶ濡れの私を


わたしの からの からだを あげましょう
海の においを あげますよ

ほら
今日から わたしを あなたは所有している
だきしめ だきしめられて
雷さんに こちらから会いに行きましょう
豪雨に こちらから出会いましょうよ

ひかりかがやく わたしの からだ 
ひかりが干渉しあうね あなたの からだ


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虚心坦懐
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世の中には嘘が多すぎて、
嘘に包まれた世界に鉄槌 的を射るような言葉は、ガンモドキ

わたしの心を 切なさを つつみこむ やさしい言葉は、小籠包
愛のささやきも だんだん夢また夢の、飛竜頭

それでも、息が止まるくらいに感じたい あけはなたれた あの空の
龍が踊る 龍の子が虹をつくる 龍の夫婦が歌う あの空の

ほの暗い胸の内から生まれた闇に、 龍の鱗 煌めき 
空に舞う箔となる ひとひらのいぶき

無価値な私の境界線に
価値を与える  そのエーテルを、 わたしは胸いっぱいに呼吸する



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メビウスリンクというサイトの中に、前の人の言葉を用いて詩を書きなおすというコーナーがあり
ます。そちらの企画に投稿したものの中から、私の書いたものだけを抽出し、推敲いたしました。
http://mb2.jp/_gsk/241.html#S291


自由詩 はちきれんばかりの おもいのままに 三部作 Copyright るるりら 2014-03-18 11:42:00
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