ひとひらの冬
千波 一也



三月の晴れ間に舞う
ひとひらの冬

勢いもなく
威厳もなく
すぐにもそれは解けて

どこから来たの、
どこへと行くの、
たずねるいとまも無く
お別れになる

けれど、
帰るべきところへと
帰ったのだろうと思われる

きっと、
やさしい身内のもとへ
戻ったのだろうと思われる

もうじき春が
あふれ出しそうな頃に舞う

ひとひらの冬

それはあまりに淡く
いとおしい









自由詩 ひとひらの冬 Copyright 千波 一也 2014-03-17 16:36:09
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