十九歳の星座
塔野夏子
彼はいつも身の回りに星座を連れている
折に触れその星々の配置を
巧みに操りながら
蒼を帯びた眼差しの閃きで
ほんのわずか歪んだ口もとの微笑みで
しなやかな指さきのひとふりで
星々は踊るようにその位置を変えてゆく
その織りなす角度は常にあやうく
彼と彼の星座をとりまく圏は
無邪気さと妖しさが戯れるように
気まぐれにゆらゆらとゆらめきあい
彼に惹かれる者みなが
そしておそらくは 彼自らが誰よりも
その星々の舞いに魅入られている――
たとえ彼が力尽きくずおれるときも
彼の星座のかたちはなおも奏でる
かなしいほどもの狂わしく美しい旋律を