若い詩人の為の詩
yamadahifumi


マラルメの、あるいはランボーの孤独は

詩の中でのみ生き続けているのだろうか

美術史や、教科書の中の芸術から

はみ出した彼らの魂は

まだ

詩の中に生きているというのだろうか

もし、私達がそれを読む時

その存在を感じられないのなら

もう、それは死んでいる

つまり、それを蘇らせるのは私達

だから、私達は読書をする時

一介の遺跡発掘者とならなければならない

そして、それは

似非研究者のように

遺跡盗掘者であってはならない

そこに文字を読むのではなく

そこに人間を、魂を読む

そうでなければ文学には何の意味もない

世界は言葉ではないが

言葉で表す事はできる

この不可逆な関係を

私達は私達の中の『詩』によって辿らなければならない

そして、辿った先に一人の孤独な詩人がいるとすれば

君は全ての時空を超えた

一人の人間となる事ができる

君は詩という無用な物体に触れる事によって、今こそようやく

最初の、一人目の人間となったのだ

その時、君の目からは涙が溢れる

そして、その涙を見る者は

今、君の目の前に現れたもう一人の君ーーー即ち

一人の人間となった者に贈られる

神からの贈り物 つまり

『君』という詩人だ

その時、君ははじめて言葉によって

この世界を支配する事ができるだろう

一滴の血も流す事なく

全てと和解したままに

そして、その時、君はあの

過去の伝説の詩人達の仲間入りをする事となる

そこでは言葉だけが真実で そして魂だけが発語する

そんな空間なのだ

「さらば、世界」と呟いて

君は言葉の橋を渡りたまえ

・・・詩人達はどこにでもいる

君が求めれば、すぐそこに

そして、君は・・・・・・

最後に沈黙する

その言葉の豊穣を

自身の歓喜に変える為に


自由詩 若い詩人の為の詩 Copyright yamadahifumi 2014-03-13 10:10:59
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