三年目
蒲生万寿

今日の空は青く

日は明るく

春の一日は輝く



それぞれの営みはつつがなく

三年目の今日を過ごすだろう



毎日の記憶は更新され

消えるものもあれば

残るものもある



この国に住む者の共通認識として

決して忘れてはいけないものが

今もその地獄の蓋を開けている



見捨てられた町

見捨てられた人

見捨てられた未来



嘘で塗り固められ

風化させられようとしているが

事態は広く深刻に生命の中に移っている



「この国は平気で民を殺す」



三年間で自覚し

この先現実となるもの



「私たちは殺されるために生まれて来ました」



無自覚が導き出す答えは明確にある



天災は限られた時間で止まり

人災は人がのさばる間は共に続く



一人一人は考えるだろうが

集団となると考えない



そして

都合を優先させる



一人だと人間かもしれないが

集まると馬鹿になる



そして

不都合を排除する



三年目、三十年目、三百年後

人は変わらない、変えようがない



空は青く

日は明るく

春の一日は輝けども



愛は理想のまま

そっぽを向き

都合次第で

茶を濁す



闇の深さは果てしがない

世代を越えて

闇は濃くなる



三年目

相変わらず愚かだ



あなたは誰に微笑むのだろうか?

スミレがここに咲いているというのに


自由詩 三年目 Copyright 蒲生万寿 2014-03-08 16:40:20
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