柿
乱太郎
十一月の鐘が実を落とし
朱色の音符を齧る
冬になる前の夕焼けの子守歌
もういいかい
紅潮した頬がさらに赤みを増したのは
母に贈る感謝への気恥ずかしさ
渋くはないよね
不安げが小さな手のひらで転がって
大丈夫だからと
そっと撫でた母の手のひら
柿ひとつ
子供の手から親の手に
固くでもなく柔らかくでもない
晩秋のささやかな温もり
自由詩
柿
Copyright
乱太郎
2014-03-07 13:47:06
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