入院
弓夜

ここでは白が
もっとも偉いのです
声は聞こえても
結局は沈黙で
銀色の道具たちが
活躍します

わたしについて
ほんとうに想ってくれているのか
これっぽっちも想ってくれていないのか
常にわかりかねます

外からやってくる人たちは
髪がぬらぬらと艶めいて
ものすごい生命力です

白の厳しさが
ほほえみに変わる頃
外のすべてが
ぎらぎらと光ります
眩しすぎるのです

もう少し
ここにいたいと思ってしまいます
けれどそれは許されない

風に吹かれ
いつしかわたしも
黒い髪をぬらぬらと光らせながら

ひとりそっと
白い箱をあけてみれば
ぎゅうぎゅうと宝物が
詰まっているのです


自由詩 入院 Copyright 弓夜 2014-03-06 13:44:03
notebook Home