冷たい雨
nonya


雨を轢く車の音が
電話の呼び出し音の行間に
打ち寄せてくる

湿り気を帯びたルーチンワークは
未だ真綿に包まれた意識の中

縋りつくように盗み見る
スマホには温度の無い文字列と
笑えないスタンプ

窓の外に見えるはずの
雨雲に拉致さらた電波塔は
こんな日にも生真面目に仕事をこなす

昼休みまであと30分
買い置きのカップ麺をすする自分の姿が
電話の呼び出し音の行間に
打ち上げられて嫌になる

外は冷たい雨
情け容赦ない季節の足踏み

新しい季節はまだ
百貨店のディスプレイの向こう側で
パステルカラーの洋服を着せられて
うらめしげに空を見上げていることだろう




自由詩 冷たい雨 Copyright nonya 2014-03-05 19:38:28
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