春という字【詩人サークル群青三月の課題「春」への提出作品】
そらの珊瑚

手近な男とくっついちゃって
あたしもヤキがまわったかなあと
それが照れ隠しなのは
彼女の顔を見たらわかる

手近な言葉
ありふれた言葉
黒板消しで拭くたびに
私の屋根に白いチョークの粉 降り積む
そもそも誰も使ったことのない
未知の言葉なんか
ないのであれば
新しい言葉を探すことなど
徒労に思えてくる

知っているはずの言葉が
突然
知らない顔をして
UFOから降り立つように
現れたなら
はっとして
それから恋して
手近な言葉とくっついちゃって

私も笑ってみせたい

春という字のなかに
とても穏やかな一日がある
どこにでもあるような
ここにしかないような
ささやかな幸せのような
そんな一日が
とても身近に
花屋の店先で揺れていた


自由詩 春という字【詩人サークル群青三月の課題「春」への提出作品】 Copyright そらの珊瑚 2014-03-04 12:36:23
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