日比谷公園
……とある蛙

裁判所の窓から望む

冬の日比谷公園は
昔日の面影そのままに
冬枯れした杜の透き間
レンガ色した公会堂の屋根部分が
遠望できる

公会堂の長い影は
公園の小径を覆い
所々に前夜の白い忘れ物を
天に返さず引き留める。

落葉高木の合間に
常緑樹の杜
一〇〇年このかた
あらゆる喧噪の埒外に
あったわけではない

冬の散歩の似合う杜
都会のブラックホール

盛りのついた都会人の番も
サラリーマンのランチタイム

冬はいない。


自由詩 日比谷公園 Copyright ……とある蛙 2014-03-03 13:10:53
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