一人芝居(その2)
星☆風馬

お題を三つもらって一人芝居を作るシリーズ、その2
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お題 「ハーフパイプ」「カフェ」「濃霧注意報」


ネットカフェの個室で富子とセックスしているとき、テレビからはハーフパイプのオリンピックで優勝した日本人が帽子を被ったまま「日の丸」を眺め「君が代」演奏を聴き入っていた。インタビューでマスコミが金メダル噛んで下さいとせがむと、その女はメダルを噛んだ

 「おい、富子。ぼくの金玉を噛んでくれ」

とぼくが富子に頼んでも、富子は

 「なんで?」って聞き返してくるっていうのに。、、、いや、いいんだ、金玉噛むのがいやなら、チンポを舐めてくれるだけでいいんだ。だから、だから、

 「フェラチオして欲しいの?」

 「うん」ぼくがうなづくと富子は満面の笑みを浮かべて「いいよ」って言ってくれた

ネカフェを出ると外は霧に包まれていて辺りがまったく見えないほどだった

 「濃霧注意報でも出てそうな天気だね。外が見えない」

 「これは愛よ。わたしたちを包みこむ愛」

 「え?」

 「わたしたちはね、愛の中に堕ちていくの、これから」

 「どういうこと?」

 「今すぐわかるわ」

 「富子、、」

実はぼくにはわかっていた。富子、君が人間じゃないってこと。なんでネットカフェに入ったら女の子が待っていたのか。「これってネカフェの新サービス?」なんて思いながら気をよくしていたけど、ぼくもちゃんと知っていたさ。君が人間じゃなくて違法に量産されているアルビノクローンだってこと。赤い目をしたレイ。その粗悪なコピーではあるけれど。「君の源氏名は富子かい?」ぼくは富子とキスをする、熱く、熱く、キスする

 「世界なんて滅びてしまえ」

そうよ、それを3回唱えたら、あなたの世界は滅びてしまう

 「世界なんて滅びてしまえ」

そうよ、それを10回唱えたら、あなたの願いは叶うはず

 「世界なんて滅びてしまえ」

、、、レイ、富子
   ぼくは君がいるだけで、、(倒れる)ト、ミ、コ、、

 <TOMIKO.NO.Free>

そうよ、もう始まっている。弱者は滅びるだけ。違法に量産され続ける粗悪品に滅ぼされる人間の悲しい結末。さあ、あなたも唱えるのよ

 「世界なんて滅びてしまえ」


−了−

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2014年 3月 3日(月)00時20分24秒 作成


散文(批評随筆小説等) 一人芝居(その2) Copyright 星☆風馬 2014-03-03 01:04:07
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