十四歳 / 同性愛 他
クナリ

<十四歳>
十四歳の時の情緒によって
十四歳の時の衝動に任せて
十四歳の時に泣きわめくことが
十四歳の時にはできなくて。





<経験>
もっといろんな男の人と抱き合えばよかった
もっとたくさんの男の人と遊んでくればよかった

そうしたら今
剥き出しに泣きじゃくるあなたの
慰め方が
一つくらいは思い浮かんだろうから
それをうまく実行できたのかもしれないのに。





<キスの意味>
初めてキスをしたのはずいぶん早かったけど
初めてキスの意味を知ったのはずいぶん遅かった

あなたに出会ってからだったから。





<遅刻>
君と僕とが
さよならしたのは
出遭った時には
もう遅かったから。





<歯跡(heart/hurt)>
別れの日に
あなたが僕の手首に付けた歯の跡は
僕が思ったよりもずっと早く消えてしまったけど
今でも目を閉じて自分の手首に口づけをする
変わった癖だと
笑われながら。





<危ない恋愛>
あのときに私があなたに見せ付けた
あのときの危ない恋愛は
あなたの気を引くためだけのものだったけど
それがあなたにばれたときには
どれほど軽蔑されるだろう

あなたへの想いの方が
私にはよっぽど危ない。





<同性愛>
「何で男と寝るの」
「何が悪いんだよ」
「同性愛者なの」
「そんなことはないよ」
「どうして男と寝るの」
「好きな女は手に入らなくて、他のどの女にも、僕を慰めることも、潤すことも、満たすこともできないから、男しか仕方ないじゃないか」
「それで満たされるの」
「無いよりはましだという程度には」
「無意味だわ」
「どこか、気楽なんだよ」
「その好きな女って誰」
「……」
「私、同性愛者でよかった。やっぱり男ってよく分からない」
「……」
「聞いてるの」
「ああ、せいせいするよ、と思っていたんだよ」
「ごめんなさい」
「……」
「泣かないで」

「泣くさ」



自由詩 十四歳 / 同性愛 他 Copyright クナリ 2014-03-02 19:46:58
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