この足は覚えている
bookofheaven

足の下の土の地面は
昔とちがって歩きやすい。
水はけもよくてジョギングに適した土が
使われているそうだ。

それでも 私の足は覚えている。
ジャリジャリの小石の入ったデコボコ道
塗れて指に食い込む泥道
刈り取ったばかりの田んぼのなか
残された稲の束の根っこを踏む感触

この足は覚えている
いまは快適なシューズの中で
寒さに弱く 走ればすぐに疲れて痛む
ジョギングに適した道だというのに
30分も歩けないけれど

この足は覚えている
ハダシでどれほど走れたか
ぬかるんだ道をどれほど早く駆けれたか
時間を忘れて 遠くまで行こうとした
母に呼ばれて戻る時間の長さときたら!

この足は覚えている
この足は知っている
かつて私は何ができたか
今の私には何ができるか
私自身が忘れてしまっていたとしても。


自由詩 この足は覚えている Copyright bookofheaven 2014-03-01 10:01:12
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