詩人女子
yamadahifumi

私の中に言葉がやってくると

私はつい沈黙してしまいます

・・・私、詩人なんです

馬鹿馬鹿しい事に



私だってジャニーズが好きです

特に、亀梨君が好きです

真面目そうだし、格好いい

それで友達と亀梨君の話をします でも彼女は

二宮君の方が格好いいって



でも、そんな時、ふいに

私の中に言葉がやってきて

それは流星のように

私の心を刺し貫きます

すると、その時、私の中の

詩人としてのもう一人の私が顔を上げ

私に話しかけます

「早く、私を出して! ここから!」って

その時、私は皆と

楽しくおしゃべりしている最中なのに

つい、黙りこんでしまうのです

だから、皆急に黙った私を見て

「どうしたの?」

って聞きます

・・・私、恥ずかしくて言えません

今、書きたい詩ができたなんて



・・・なので、私は家に帰って

ノートに向かって一人、詩をしたためます

外は、四年ぶりの大雪が降っています

なのに私のペンはぐいぐいと進みます

それはまだ十六の小娘がやる事ではないと

私は知っています

でも、私の中のもう一人の

詩人としての私は私にいつも指図するのです

「私を書いて! 私という言葉を書いて!」と



・・・それで、書き終わると

私はふうーとため息をつきます

その時、世界の色は

私が詩を書く前とほんの少しだけ

異なって見えます

それは何故か青みがかった色調

いつか、あのピカソも

こんな風に世界を眺めたのでしょうか



詩を書き終えると 私は

コーヒーを飲むためにリビングに降ります

それから、私の大好きな弟をちょっとからかって

それから、お母さんにうんと甘えます

年不相応に

あと、お父さんには

テストの点を知られないよう要注意

そんな私・・・そんな普通の私

でも、言葉は非凡

そんな気が今の私には・・・するのです

もし、この先、私の気が狂う事があっても

私は少しも驚かないでしょう

だって、元々、狂気なき世界には

何の価値もないのですから

ですから、私の中の詩人の私は

あんなにも私に叫びかけるのです

今日も
 
明日も



・・・リビングでは母と弟が一緒に

NHKのドキュメンタリーを見ています

・・・何を見ているのでしょう?

私、気になるから

それを見に行きます

そして二人の間に割って入って

三人仲良くテレビを見ようと思います

この世界を一瞬で捨て去る

そんな少年の『詩』を

書いたその後に



・・・そうです、私は幸せです

詩人としての私を除いては


自由詩 詩人女子 Copyright yamadahifumi 2014-02-27 09:28:43
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