魔法が解けた
藤鈴呼




ねぇ どうしよう
あなたのかけてくれた魔法が
とけちゃった

それはユウカイ

誘拐かい?
ううん 違うの。

誰も 「わたくし」 の中から
魔法を 捥ぎ取ってなんか
いなくってよ

融解かい?
ううん 違うよ。

もともと 雪のように
軽やかな 足取りだったし

液状化現象が 起こりそうな程
わくわくも したけれど。

幽界かな?
うーん、どうかなあ。

否、と 瞬時には
判断 出来ないよね

元から 見えていた ものだとか
観えない筈の 素だとか

くっっいた藻を
ゆっくりと 引きはがすように

あるいは それは
スライムみたいに
ゆっくりと 貼り付いて来たの

「わたし」 の 中に

それにしても
あなたが鈍感で 助かったわ

この バイオリズムが 解明されると
やや 厄介なのね

気分が乗らない瞬間にも
笑顔で応対しなければ ならないような
面倒さを 感じるんだわ

それでね 一つ 問題が 発生したの

どらえもんじゃあないから
どこでもドアなんて
始めから
存在しなかったのだけれども

魔法の杖が ないとねぇ
絨毯も 出て来ないじゃない?

そうすると あたし
あなたのもとに
飛んで いけないのよ

それが 目下
やや 厄介な 出来事なの


自由詩 魔法が解けた Copyright 藤鈴呼 2014-02-26 01:11:33
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