舟の儀式
umineko
舟が
天の使いが
父を迎えに降りてくる
モニターの
緑の輝線
彼の何かを告げている
母と私は部屋を出て
お向かいの
やけににぎわう居酒屋で
白身魚の天ぷらと
焼き鳥とサラダとプリン
もう
なんか駄目だね私たち
彼は
私は深く理解する
もう
彼は閉じてしまうよ
私と母は
場違いな居酒屋で
ひそひそ話をつづけてる
彼のいない世界のこと
手続きのこと
誰に電話
もう 言わなくていいんじゃない?
だめだよ 連絡しようよ
だって 叔父さん90だし
だからね お母さん
お母さん
だからね
だいじなことは
ありがとうって
支えてくれて
私は
そうしてほしい
私の意味を伝えて欲しい
だからね
父さんも
きっとそうだと思うんだ
この世とか
あの世とか
そういうことじゃなくってさ
偶然に
同じ時代を生きてきた
私は
強く伝えたい
あなたの
娘で幸せでした
だからね
あと少しだけ
夜がくるよ
舟の姿で