無題(2009.4)
新嶋樹
釘で刺した脚から虹があふれた
洗面器一杯に溜まった掬うと光って弾けた
中指と薬指の間から糸
塗りつけたら痘痕になった
無駄のない速さで跳ぶ
二本脚では届かなかった
海に削られた骨が痛む
群青色の逃避行
砂漠を歩いてみたかった
蜜柑の花を撒き散らし
減るばかりで育たない
暮らしの味を知る
国家は座布団を奪い合い
羽音を聞く殻が砕ける
自由詩
無題(2009.4)
Copyright
新嶋樹
2014-02-23 18:04:52