いつもの車両に
イナエ

いつも 
車両に乗り込んだ人は
先から乗ってきた人に
目で挨拶を交わしたきり
閉じたままの窓の外へ
視線を泳がせたまま
死んでしまう

いつも
死んだ人間が運ばれていく車両に
今日は
人間の汗の臭いと
さえずりが充ちている
レールの笑う声も
歯ぎしりする音も
押しのけられて
こどもに帰った老人たちの
華やいだ声が充ちていて

一体何処へ行くのだろう


自由詩 いつもの車両に Copyright イナエ 2014-02-22 09:50:55
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