みんなエビフライだよ!
ゴースト(無月野青馬)

殻の煮え
爪先立ち
ケレン味
夜には
一斉に開かれて
“みんなエビフライだよ!”
どよめく心筋
押し寄せる十指
感覚が
五臓六腑をうろつき廻り
首が調理師の
涙で濡れていました
ああ、分かってしまって
うっすらと分かってしまって
苛立ち
扇情
煮え、煮え、煮え
煮え
呟かれたワードが頭から離れなくて困っていました
船に載せられても
載せられなくても
千差万別の手癖で世界が平和になればいいのにと
思っていました
万人に通じるカノンコードだけで
世界が平和になればいいのにと
思っていました
包丁さばきで
世界が平和になればいいのにと
本気で思っていたのです
何もクリアにならないなら
何もクリアに出来ないなら
海側から壊滅すると言うのなら
夜には
一斉に車座になればよかったのです
海側から壊滅すると言うのなら
人海戦術ならぬ海老海戦術を駆使すれば良かったのです
一尾一尾は千切れても
それがディレイになって
それがギャップになって
みんな浜辺に打ち揚げられずに済んだ筈なのです
けれど
結果は逆で
みんな浜辺に打ち揚げられてしまったのです
そんな風に終わらない為に
世界が平和になればいいのにと思いながら
茹でられた
殻の直感でも頼みの綱にするのです
みんな橙色のエビフライ
みんな橙色の海の幸
みんなみんなエビフライだよ!





自由詩 みんなエビフライだよ! Copyright ゴースト(無月野青馬) 2014-02-21 19:37:35
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