障子紙
はるな


こわくない
冬なので
こわくない
ビタミン剤あるから
ぜんぜんこわくない

花柄の靴したを
いつもばかにされても
構わないで履きつづけていた
ななちゃんは9歳だったのに
勇敢だった
わたしはあのころ
すべてがこわくて
男のこのことばかり
考えていた

男のこたちは
やさしかった
男のひとは
もっとやさしかった
なんの役にも立たない種類の
やさしさで
わたしはどんどん
臆病になった

靴したはどうしても
おそろしく
ばかばかしい値段のする
ストッキングは心やすい
やぶろうとおもえば
すぐにやぶれるところも
正直でよい

障子紙もまた
安心するもの
まっすぐな枠にはめられて
紙のくせに

それでも何年も
障子のない部屋に住んでいた
気づいたらはだしで
冷蔵庫はすかすかで
男のこたちもみんな
どこかにいってしまった
でもこわくない
わたしはいまや女のひとになって
誰にもはばからず泣くことができる
いつでも
どこでも





自由詩 障子紙 Copyright はるな 2014-02-18 14:05:14
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