The-so-mato-LAND(第四稿)
赤青黄
The-so-mato-LAND(第四稿)
――――こっちに来ちゃダメだ
海面すれすれを漂う。僕はペンヲ握ってカリカリを音をたてたて、赤ん坊はヨチヨチ、風がバブーバブーとなく度に町中に沈んでいく救急車のサイレン、すれ違う霊柩車はサイレント?ちがうか。主人公は負けない、死なない、倒れない、カリカリと紡ぐ物語の中に人間はどこにもいないよ、赤ちゃんは羊水にとけてバイバイ。海月みたいに横たわる僕。天井から吊らされたcoronaがふわふわ揺れている。
――カエシテオクレ
目が覚める。僕は冷蔵庫に向かう。缶コーヒーを取る。お気に入りのカップに注ぐ。レンジにかける。チーンチーンピロピロリンとかまるでまるで、、何の音だっけ?蓋を開けると冷たい空気。なにも匂わねぇ、一口飲んだ、味がしねぇ、トイレにいきたくなった。あら紙がねぇ、てか水もでねぇ、ってかここ、おれんちじゃねえな、紙の芯が空回りして「捨なせてくれ早く捨なせてくれ!」ってうるせぇな、いや今のおれには無理だ、てめえの世話なんざみれねぇよ、俺は今なぁ、はらがいてぇんだよ
――――――どういうことだろうな
祖父は三途の川を見たそうです。向こう岸から「こっちきちゃあかーん」っておじさんに言われたから、仕方なく戻ったんだって。だけどほんとは行きたかったって、だから、僕らは三日目の朝に祖父と別れた。
「今日の晩飯豚カツだってさ!」「兄が病気で倒れたの」「それからそれから?」「サクサクサクサク」「たりないなあ」「なんかおもしろいことあった?」「だれか噂してる」「声。声。」「ただいま」「おかえり」「もうかえってこんかも」「とうちゃん」「かあちゃん」「とんかつまだ?」「いただきます」「も」「ごちそうさまでした」「も」「明日はじいじもよぼうか」「あ!ほたる!」「なつのゆきね」「ねぇ外いってもいい?」
―――そらやきあげるはねのおと
「ほしぞらがきえた」
「ほたるはつちにきえた」
「とんかつもつちにかえった」
「はなはそれらをすくいあげた」
「庭々を埋め尽くす紅い火鉢、
so-mato-LANDに花火はあがらない」
「そう、なにもなかったことにしないといきてゆけないんよわたしたち。おもひでが、いつまでも穏やかな海でありますように」
乾いた指先で花を摘み取る、彼の波の、瞳に映る光の輪が、海月の青に、とけこんだ、ひっそりとまぶたをおとして。