ps.

付き合いでサーフィンを始めた。

付き合いと言ったらゴルフだと思っていた。ゲームで磨いたわたしの腕は祖父と一緒に眠
ったまま。

南の方の生まれだから冷たいのは苦手なんですよ、というわたしの声は届かず、明け方、
自宅のチャイムが鳴る。

助手席に座り、駐車場の料金が高いから車を売ろうと思っているんだ、という彼の話を聴
きながら海へ向かう。
 
わたしは目が悪く、コンタクトを填めたところで正しく世界を見ることはできず、免許を
持っていなかった。

まだ、上手く波に乗れないわたしは何度も魚の仲間入りを果たした。

学生時代、魚になりたいと言っていた友人がいた。あれから十年ほど経ったが、願いは叶
ったのだろうか。

ボートや海と一体になれば良いんだよ、と彼は教えてくれた。

彼はわたしより父に近かったが、背中のチャックを開けると中学生が入っていた。父は今
年で仕事を辞めるそうだ。

ボードから追い出され海に落ちた。波が波を飲み込み、わたしも飲み込んだ。

上空を鳥が飛んでいた。鴎だと良いなと思ったが、黒く塗られていたので、きっと鴉だっ
たのだろう。


自由詩Copyright ps. 2014-02-15 18:51:07
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