わたしは買わない
nonya
あなたはそれを
必然だと言う
わたしはそれを
偶然だと思いたい
あなたはそれを
どうしても運命にしたいらしい
わたしはそれが
無数の枝分かれの末端にしか見えない
この世界では
不思議なんていくらでも売っている
好奇心の耳が
やたらとピクピクして困るけれど
わたしは買わない
誰かが
小綺麗な魂の試着をしている間に
誰かが
明日のスマートな歩き方を教わっている間に
あえて胸を張ることもなく
他人を着こなすこともなく
今日の未舗装の細道を
わたしはわたしの足で歩く
たとえ突然の雨に打たれても
たとえ酷い日差しに焙られても
たとえ吹雪に視界を遮られても
たまに雲ひとつなく晴れ渡っていても
わたしは買わずに
わたしなりに歩いていく