無視されたら
殿岡秀秋

挨拶したのに
ぼくを見て
顔を横にして
何もいわない人の
その一瞬が
ぼくのこころに
小さな傷を作る

返さない人の
こころのうちは
苦しくはないのだろうか

その人のことを
考えないようにして
一日を忙しく過ごす

ぼくと
語り合う人たちとの
眼と声とのつながりを
からだにスプレーのように浴びる

明日も挨拶しよう
いつか硬い壁が崩れて
しぶしぶ返事をしてくれる日が
くるかもしれない

いつまでも同じであったものはない
同じことの繰返しに飽きた
子どもの日のぼくと
今のぼくは大きく
異なっている
(震えるこころはそのころのままだが)

暗転してから
鮮やかに蘇る
舞台のように
きっと変わる日がくる


自由詩 無視されたら Copyright 殿岡秀秋 2014-02-15 05:25:28
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