冬時間
そらの珊瑚

腐る。
ギリギリのところで
なんとか持ちこたえている
としたら
死がとても怖い
かくれんぼしていて
うっかり見つけてしまった
小鳥の死骸にうごめいていたうじむし
その卵が
この空気中にも
漂っている

還る。
そこはこことは違うどこか
或いは
生命体としての実体は無になるとしても
あとかたもなく丁寧に分解されていく
翼のゆくえを
かじられた林檎の断面が
変色していく(それは少なからず安堵をもたらすものだった)
朝に
探している

珈琲は
既に冷めて
手放した湯気は今頃空で糸となり
大人しく
つむがれているに違いない

やわらかな くさりかたびら

冬時間。
というものがあるとしたら
それはゆるやかな坂道を
うすらさむく
下ってゆくようなものではないかと
もしくは
登ってゆくのかもしれないが
ひとり今、頬づえをついて
鬼を
待っている



自由詩 冬時間 Copyright そらの珊瑚 2014-02-13 08:31:19
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