悠 遠
朱雀

ビョウと突き刺す風越しに

ふと目に止まる時のうねりが

凄凄とした瞑色に身悶え―――


弥立いよだつ躰と裏腹に

凝らした眸にかがよう影は

象牙の塔に姿を変えて

『此処へおいで』と甘言を吐く


喜懼きくに揺れる心裡を探り

僅かに遅れた足の運びを

其奴が見過ごす筈はなく・・・

『お前はいつもそうだね』と

侮蔑混じりに ただもう一度

ビョウと響動とよもし掻き消える


其の名は闇の詠うたい

識閾しきいきに立つ我を哀れみ

ただ気紛れに姿を見せる

いつか わたしはお前のもとに

辿りつく日が来るのだろうか?


自由詩 悠 遠 Copyright 朱雀 2014-02-12 22:45:56
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