雪原の足跡
小林螢太
なにもない
雪だけの原を歩く
目の前の白
後ろに点々と足跡だけが残る
まるで世界に
自分だけがとり残されたような感覚
孤独の影が走る
ドサリ、と音がする
木から雪でも落ちたのか
この白い世界にも
音があったことに気がつく
静かだ
そして、なにもない
すべてが雪に覆われている
遠くに
山々らしきものが見えるが
目の前の白い景色と同化している
曇り空も
山水画のような
モノトーンの風景
また、振り返る
曲がりくねった足跡が続く
先の方は
もう見えない
まるで、これまでの
私が歩いてきた人生のように
この白い世界を
このまま歩き続ければ
何処に
辿り着けるのだろう