傾滴路
木立 悟
片目は泪に流れ落ち
からだの何処かにたどり着き
そこから視界を送っては
震えの歩みを惑わせる
灯が眠る光を引きずるあとを
春は静かに追いかけてゆく
泥と雪と
鎖の描く路
ひとり ひとつ
ひびく しずく
わたし わたされ
ひらく しずく
指おることに添う指は
花に去る気がしてならず
指に指を重ねてしまい
理由を問う目に責められる
木の彫像に付いた氷が
何も無い明るさにはばたいて
空を横切る幾つかの音
新たな片目に降りそそぐ
自由詩
傾滴路
Copyright
木立 悟
2014-02-10 11:02:21
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