モンタージュ
Lucy

うろおぼえの風景の中を
戻って行く
繋いでいく

抜け出したい
と思った時
光が見えた

根毛を伸ばし
水を吸い上げる
双葉を拡げ
光を浴びる

暖かかった
柔らかかった
冷たかった
硬かった
寂しかった
寒かった
美しかった
嬉しかった

ヒトのあらゆる感覚が
まっすぐに
伝わってきた

わたしは誰のふりをして
抑えられ
隠されてきたか
誰になりたくて
吊り下がり
乾いていったのか

幾片かを欠落させたまま
輪郭を保持するジグソーパズル
のようにではなく

摩耗したわずかな土器のかけらと
違うかけらとの遥かな距離を
白い石膏で埋めながら
記憶に向かい
立ちあがってゆく炎の姿

ヒトの想像力の前に
私は息をのむ
どんなに遠い歴史だろうと
土深くから掘り出され
いつか
私たちの世界の虚妄を
照らしだす

青白い光が降リそそぐ朝
伐られた木々たちの影が
雪原をどこまでも伸びていく


自由詩 モンタージュ Copyright Lucy 2014-02-09 22:49:43
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