ルイジアナ
atsuchan69
雨のニューオリンズは、
曇った窓越しに少しぼやけながら
淡く水色に滲んではゆらめき
傘をさして歩くふたりを見るともなしに
鯰のフライを一口摘みながら
琥珀色した苦いカクテルを啜り、
どうしても消せない胸の燻りを冷ましつづける
だけど、もうそれは忘れる他なかった
もぐりの地下酒場から、
そしてストーリーヴィルから聞こえてくる
あの甘い旋律を聴いてしまったら最後‥‥
おまえも仲間になれよと囁かれて
――OK!
酒に酔った勢いから、
僕はつい、その‥‥頷いてしまう
イケない酒が、イケない仲間たちと一緒に
イケない場所に、「ヘイ、どうだ!」とばかりに並んでいる
紫煙をかき分け夜通し派手な娼婦たちと遊んで
明日は、まる一日列車に乗って別の街へと
けして天国から逃げるわけじゃない
だけど、もうそれは忘れる他なかった
あれは、幻だった日々とともに、ぜんぶ終わったんだ