ゆきうさぎ
藤原絵理子


ゆきうさぎ 跳ねた

あの子がいっしょうけんめい
まっかな実に負けない
まっかなほっぺで
冷たいおててをこすりこすり
夢中でつくったの

はやい夕暮れのうす闇に
ゆきうさぎ 跳ねた

白い牙むく 荒れ狂う吹雪
吸いこまれそうな 漆黒の闇
あまりの苦しさ やるせなさに
こころがささくれだちかけたとき
やさしく包んでくれるものは

あたたかいこころにいだかれて
あの子がまるい夢みて眠るころ
ゆきうさぎ ぴょんぴょん

ふぶきが止んだ静かな夜更け
部屋の明かりを暗くして
こころの窓をそっと開け
外の林を眺めてごらん
見えないものを感じられるよ

あなたの作ったゆきうさぎ
うれしそうに
ぴょんぴょん跳ねてるよ


自由詩 ゆきうさぎ Copyright 藤原絵理子 2014-02-06 23:55:34
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