きみはハズレ
ユッカ

声を聞きたくないときにかぎって電話は鳴る。
どうやらきみは、わたしをカウンセラーか何かと勘違いしていて、
一心につくせば必ず、労働に見合った甘いお菓子をくれるとでも思っているようだ。
そんなわかりやすい話がここにあるわけないでしょう。
就職するために顔をつくりかえるような世の中だ。
数分で考えたメールごときで、凝り固まった人の心を動かせると思っちゃダメだよ。



未来のことは星占いではわからない。

それでもわたしたちは血液型占いの本を買うし、
朝には天気予報を見て、その日の予定を考える。
A型は真面目だとか、
今日の天気は雨ですとか、
信条は一日一善ですとか、
愛すれば愛されるとか、
信じれば救われるとか、
全部可愛い占いみたいなものだ。
ロマンチックで儚い願かけ。

そんな確証のないことは何ひとついらない。
中身の無いメールなどしていないで、約束のひとつでも考えたらどうだ。
実はあなた達からもらった何もかも、
高いワインも可愛い服もすばらしいレストランの予約も何もかも、
大ハズレのバカ占いだったので。

もしも本当にアタリがほしいと思うなら、
占いなんてやめて逢いにきて。
いっしょに並んで歩いて、たまには排水溝にはまってもいい。


もしも願いを叶えてくれたら、
もう何もかも手遅れではあるけれど、
たとえばあの日見た紫にけぶるすばらしい夕焼けのような、
世界の秘密をひとつだけきみに教えてあげる。


自由詩 きみはハズレ Copyright ユッカ 2014-02-06 19:27:09
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