失われた午前を求めて
塩崎みあき

時の意味を問う
午前は
萌黄色の航海である

海に
漕ぎだすための一本のオールは
時間の形をしている
私たちは
沈むまいと
午前を漕ぐ
太陽が昇る所を目指す

失われた午前は
小壜に溜まる
白昼
海流にあらわれた物のみ
言葉に変化する
誰にも語らない
届くはずのない
言葉を
私たちは盲信して
ほんの少しだけ疲れている
どこにもないものを
有ると信じる事に
意味を見いだし過ぎている

―から
らツー・
通信機の
のツー・ツー・

証明が私たちにもたらすもの
それは何時でも事実を先回る
質量が生まれた瞬間から
午前の軽さは証明される
すなわち
沈む
落ちる
落ち着く
午前が水面に落ちて
ゆっくり
酸が羽毛を溶かす様に
ゆっくり
水の中に沈んでゆく

一日中
「グットモーニング」
を言うこの時代に
季節以上に失った物は何かと問う


自由詩 失われた午前を求めて Copyright 塩崎みあき 2014-02-05 18:18:57
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