葉leaf




木の枝に積もった雪は
小さな里をいくつも作り出す
それは大きな冬がてんでに飛び散って
目に見える器として現れたもの
私は肺の方から雪の飛沫を求める
近い日に近い日が寄り添って
いつの間にか遠い日に辿り着くように

雪は硬く透明になってつららとなり
春と夏と秋を偏りなく閉じ込めている
ひとの声もまなざしも
その透明さの中に奪い去って
雪が深く積もっていく間中
私の孤独はどんどん否定され更新されていき
静かな痛みをゆっくり与え返すことで
小さな貧しさが結実と落下を繰り返した

雪はこれだけ白くて厚いので
絶対的に貧しくあらねばならない
街から街へと惜しみなく光を注ぐためには
例えば羞恥において貧しくなければならない
役場にも商店にも道路にも私の頭上にも降るためには
一貫した欠落によって美しく滅ばねばならない
しかし雪は自然を循環することでどこまでも高まってゆく
激しく融けて水路を流れ海にまでたどり着き
小さな物語を無数に束ねて太陽に匹敵しようとする
雪はすぐれた物語を隠し通すためにあんなにも真っ白なのだ


自由詩Copyright 葉leaf 2014-02-05 14:16:59
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