薄い衣
草野春心



  春、ひとすじの川が
  豊かな緑に彩どられるころ
  薄い衣をまとっていくといい
  きみは女なのだから



  岸のむこう側では
  きれいなかたちをした石が
  見つけられるのを待っているから
  そろそろ いそいで いったほうがいい



  今宵の月の
  手の甲が白くなっていく
   ぼくは嘘をついているだろうか
   それとも きみが正しすぎるのか



  薄い衣をひとつだけ、まとっていくといい



  はやく



  いそいで、



  きみはもう



  自由なのだから





自由詩 薄い衣 Copyright 草野春心 2014-02-05 00:22:48
notebook Home