love
リヅ

ある日 ふと手首を切る女の子を思いついた
切った手首から溢れる血で白い壁に絵を描く女の子
その娘に対してのなんの肯定も否定も投げかけずに
ただ無言でその姿を使い捨てカメラで撮影する男の子


僕は呆けていた 授業中に


起承転結の最後の二つが思い浮かばなかったから
その二人には結末も無くずっとそうしていてほしいと思った
女の子は身を削りながら絵を描いて
男の子はそんな女の子を見つめ続けている
たまにフィルムに収めたりして


僕は一人で孤独だった 授業中


愛されたいなぁと女の子は思っていて
愛されたいなぁと男の子も思っていて
できればお互いがお互いに愛されたらいいなぁと思った
愛しているわけじゃなかった
愛せるわけじゃなかった
舌を突っ込みあったり抱き合ったり体温をわけあったり何もかもを晒したり
寂しい時にそんなことがしたかった
温めてほしいだけだった
弱さを許されたいだけだった
お互いがそのことをちゃんとわかってたから
二人はどうしようもなく友達のままだった
でもそれは切なさはあるけれどそれ程に悲しい事ではなかった
女の子をは今を手首に刻み付けて絵を描く
男の子はシャッターを切って写真を残す
この瞬間をできるだけ忘れない為に
お互いがお互いを見る
ずっと見る 真剣に見る
お互いがお互いの存在を正しく理解する
錯覚かもしれない それでも理解する
二人は孤独じゃなかった
恋じゃないけれど孤独じゃなかった
けれど二人はいくら僕がずっとそうしていてほしいと願っても
いつかそれぞれ別の相手を見つけるんだろう
いつか恋をするんだろう
孤独じゃないのに


そこで僕は泣きそうになって斜め前の髪の長い後姿を見つめた
ねぇ 恋なんてそんないいものじゃないよ
性欲でしかないよ
なら友達でいいじゃんって思う
それでもこの愛しさはなんだろう

好きなんだ



好きなんだ好きなんだ


自由詩 love Copyright リヅ 2005-01-16 02:17:33
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