見送るとき
藤原絵理子


夕暮れの死は淋しい
夕陽が容赦なく
色を注ぎ込む部屋
異界から配膳の喧騒

疲れ果てて
干からびた唇は静止する
腐臭の隙間を漂い来る
まずい魚の煮物

LEDライトで確認する
瞳を通って先週の彼が抜け出る
あたしの眉間からもなにかが抜け出る

監視モニターの数字は
行儀よくゼロを並べ
グラフは平行な水平線を描いている


自由詩 見送るとき Copyright 藤原絵理子 2014-02-02 22:16:10
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