帰り道
无
夕暮れが近づき
わたしの中に霧が生まれると
過去は砂糖菓子に姿を変えて
死者の日の祭りの喧騒へと
まぎれこんでしまった
何もかもが冷たく静かだ
退屈したわたしは
自分の隙をついて
星雲を撹拌する
優雅な手つきで
思い出したくもない
断片を掘り起こす
ノイズのような記憶が
次々にやってきて
わたしの喉から
悲鳴を絞りだす
彼らが取るに足らぬと
捨ててしまったものたちを
わたしは果実として拾い
宝石として保管する
同じ浜辺にいても
わたしと彼らは
違う海を見ている
波は常に高い
発熱する経度と
呼吸する緯度
わたしに心地良い風は
あした誰かの心を折る
いつかわたしの軋む悲鳴が
誰かの子守歌になりますように