帰り道

夕暮れが近づき
わたしの中に霧が生まれると
過去は砂糖菓子に姿を変えて
死者の日の祭りの喧騒へと
まぎれこんでしまった
何もかもが冷たく静かだ

退屈したわたしは
自分の隙をついて
星雲を撹拌する
優雅な手つきで
思い出したくもない
断片を掘り起こす

ノイズのような記憶が
次々にやってきて
わたしの喉から
悲鳴を絞りだす

彼らが取るに足らぬと
捨ててしまったものたちを
わたしは果実として拾い
宝石として保管する

同じ浜辺にいても
わたしと彼らは
違う海を見ている
波は常に高い

発熱する経度と
呼吸する緯度
わたしに心地良い風は
あした誰かの心を折る
いつかわたしの軋む悲鳴が
誰かの子守歌になりますように


自由詩 帰り道 Copyright  2014-02-02 20:02:46
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