冬晴れの陰影
ただのみきや

  

異国の少女の瞳のよう 青く澄み
だが雲はお構いなしに夢の中の鰐だ

純白に生れ落ち
気まぐれな冬の微笑みにほだされる
だが夜には冷たくあしらわれ 
朝には固く汚れた肢体を通りにさらす
ざぐり ざぐり 踏み拉かれる雪

小さな鞄に収まるだけの幸せが欲しかった
破れた穴からこぼれて落ちても
何処かの誰かに拾われても
風が笑い声を運んでくれたらそれで良かった

いま 大きな空っぽのトランクを背負い
ざぐり ざぐり 乱反射に眩みながら
まるで自分が入る棺桶のようじゃないか

ざぐり ざぐり 踏み拉かれる記憶の骨々
冷たい太陽のエッジに抉られて
濡れた影が 蒼く
足元に倒れている


   《冬晴れの陰翳:2013年12月22日》






自由詩 冬晴れの陰影 Copyright ただのみきや 2014-02-02 13:22:20
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