眠りは死の子どもである
殿岡秀秋


眠りは死の子ども
一日一日
気づかないうちに大きくなって
やがてぼくと等身大になると
目覚めることがなくなるのだろう

いつその日が来るかわからない
いつそうなってもいいという
準備はできていない

変わりゆく姿を
日記に刻印する
昨日に続くぼくがいて
昨日と同じぼくはいない
(目を瞑ったままの子どもが
ひそやかに育っているからか)

一日にひとつでも
こころの底から
歓ぶことをする

物語を書くと
沸騰をはじめた湯のように
ふつふつと歓びが湧いてくる

その足跡を
砂地に残しても
年月の風におおわれて
消えてしまうのだろう

ぼくは何のために
と尋ねても
大きくなった子どもは
微笑むだけで
答えてくれない




自由詩 眠りは死の子どもである Copyright 殿岡秀秋 2014-02-01 19:59:36
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