閉経
そらの珊瑚

黒いアイリスは
男の喪に服した女だ

ジョージア・オキーフが描いた
花の絵は
どれも女の顔に見える
花が儚く美しいという概念は
もしかしたら幻想なのではないか
もうこれ以上
対象に接近したら
焦点がぼやけてしまう
そのぎりぎりのカメラを
彼女は持っていたように思う

花の顔はいつか身籠る器官だ
人間の女のように隠したりせず
無邪気に
陽光のもとにさらしている

黒いアイリスは
もう二度と産むことのない女だ
愛に殉じた女である


自由詩 閉経 Copyright そらの珊瑚 2014-01-30 08:17:24
notebook Home 戻る