放射冷却
千波 一也



聞き耳を立てていた

厳しい言葉の迫る気配に
責める言葉の
迫る気配に

聞き耳を立てて
いた



口裏を合わせていた

障りのない言葉をえらび取り
結論付けない言葉を
えらび取り

口裏を合わせて
いた



成り行きを見守っていた

勢いづいてやまぬ炎の
勢いづいて
鎮まる炎の

成り行きを見守って
いた



私ならざる私になろうとしたのは
事実

でも、

私はやはり私でいたかった



誰にも聞かれない言葉ほど
私に無慈悲なものは
ない

独りになると、ひどく
寒い









自由詩 放射冷却 Copyright 千波 一也 2014-01-29 21:50:22
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