赤飯三題
春日線香

むかし 納屋の整理をした折
古箪笥の引き出しを開けると
中が炊きたての赤飯でいっぱいだったことがある
春の川でとれた蟹の甲羅を剥ぐと
どの蟹にも赤飯がぎっしり詰まっていたこともある
それからこういう話もある
美人で知られたおんなが病気で死んで
湯灌の際に膨れ上がった腹を押したところ
ぶりぶりととめどなく赤飯をひり出した
美人は死にぐそまで常人と違うのかと
のちのちまでたいそう噂になった


自由詩 赤飯三題 Copyright 春日線香 2014-01-29 03:55:26
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