春韻
凛々椿

みぞれ ゆき はれ みぞれ ゆき
ねえ
殺して よ
きっと気持ち良くて
笑ってしまう



ひらり ひら り


には
まだ早く
濃色花蕾累々と
香り温くも木洩れ日なく
淡色花冠
点々



過ぎましたのに
終雪も過ぎましたのに
名残惜しく春雪舞い積み 薄く
仔猫の死に背に憑き食みました が
緑翠の眼
潤み
伏せゆくことなく
啼きました
ここに在りここに無い
にくしみと
あい 不条理の
めざめ
負を満たし
喉を引き千切り赤を掻き抱き
花は
咲きますか?


(大人も子供も)けだもの


はれ みぞれ ゆき みぞ れ 戻れる 戻れない
 戻れる
戻れない 戻れる

ひらり
ひら り にはまだ
早く
香り温くも木洩れ日なく
花蕾累々
花冠点在
か暗き無垢に微睡むは訃韻
白いろの膚に
母の散る
坩堝に囚われし或る日のくすり指
切り戻せぬ別離

容易く
贖えるなら


贖えるのならば
今更
だれも
泣きなどしないのでしょう






自由詩 春韻 Copyright 凛々椿 2014-01-29 01:01:46
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