涙のケイオス
馬野ミキ

あてもなく路地裏を歩いていると
灯りの下にケイオスリミテッドエディションという看板がみえ
ああここは混沌としてるというのだから俺だって参加して入っていいんだと思い
薄暗い階段を降りた

転ばぬように手すりを触りながら
ああ俺は臆病者だなあいつも階段から落ちることを考えてしまう
けれどもケイオスはすべてでぐちゃぐちゃなんだから臆病なことだって許してくれるだろう
そう思うと一度に気が楽になり俺は階段を転がりながら落ちてしまった
本当にリラックスしすぎたのだ
痛みもなつかしき肉体のおぼえ
俺はズボンの埃を払い立ち上がって音楽が聞こえるその扉をあけた

暗がりのケイオスリミテッドエディションは煙が充満し中央に機械があり
数人が踊っていて数人は何か飲み
たぶん誰も酒も煙草もやっていないだろう
この煙や液体は別のものなんだろうな
俺も気軽に自分を開放したくなり、中央の機械にちんこを押し付けてみた
ボーイがやってきて「そういうケイオスは困ります」と言われたので
俺は「どういうケイオスやねんっ!」と言った

そしたら目がさめたら泣いていた。


自由詩 涙のケイオス Copyright 馬野ミキ 2014-01-28 04:40:37
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