おりがみ くらやみ
芦沢 恵

薄暗いその部屋で わたしの足にそれは抵抗した

拾い上げると白いおりがみ

おりがみだと思い込んだのは それが真四角だったから

左下に気持ちの悪い折り目がある

不幸なことに 左下 

拾い上げを間違えた

右上に拾い上げる手だってあったのに


折り目からは くらやみにくらやみを染める液体が

とめどなく流れ出して

それをすくい止めようとする自分の手さえ見えなくなった


白いおりがみが 宙に浮いている


もはや自分の手がそのことに かかわっているのかどうかさえも

わからない

わからないまま わたしはその場をはなれてしまおうか


「去るのがアンタのためだしね」


おりがみつぶやいたよ 


くらやみはだまっていたのに



  

 


自由詩 おりがみ くらやみ Copyright 芦沢 恵 2014-01-28 00:41:56
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